第10章 本当の出会い
◇
――今から18年前の出来事。
「だ、誰がやったのだ……」
呪術高専京都校から駆けつけた楽巌寺嘉伸は驚いた。辺り一面に、加茂家内部の術師軍団が20名ほど倒れている。
そこには泣きじゃくっている女の子がひとり。そして、女の子の母親がいた――。
母親は、呪力を得物に篭めて呪具を作ることを生業としていた。彼女の作る呪具は高度な術式を放つと呪術界でも評判で、御三家を始め術師達からもひっきりなしに声がかかった。
そんなある日、加茂家の分家の当主が彼女を気に入り、妾にしたいと言い出した。彼女の方はそのつもりは無かったが加茂は熱を上げた。
気に入らないのは本妻。
加茂との間に子はなく、その女と子供さえいなければ私は愛されるという妄想にとりつかれ、激しい嫉妬に駆られた本妻は、加茂家の裏で動く術師軍団を使って母親と娘の存在を消そうとした。