第3章 下着
「占い見るのもいいですけど、帰る方法を真面目に考えてくださいね」
「わかってるよ。そういう物言いは七海にそっくりだね」
「え、うそっ、ほんと?」
七海という言葉に反応して声がうわずってしまった。五条先生がクスクス笑う。
「七海は愛されてるね〜」
「今オタクいじりしたでしょ」
「いやいや大真面目だよ。向こうに戻ったら七海に千愛のこと伝えるよ。熱烈なファンがいるって」
「……あぁ、うん。まぁ。よろしくお願いします」
言葉が尻すぼみになった。五条先生が戻るその世界にはもうナナミンはいない。生きていない。
それを悟られたくなくて、精一杯、平常心を装ったけどちょっと不自然な応答だったかも。その話は断ち切って、私は五条先生の背中を押し、テレビの前のベッドに座らせてからキッチンへと戻った。