第3章 下着
部屋の薄暗さに気が付いて、テレビの前を通りベランダの方へと足を向けた。
まだ開けていなかった部屋のカーテンを開け、レースカーテンにする。レースカーテンの隙間から窓越しに東の空を見ると冬の太陽が顔を覗かせていた。お天気は良好のようだ。
けれどもここは一階だから、向かいの家屋に妨げられて眩い朝日は残念ながら室内を完全に照らしてはくれない。
朝方冷え込んだのか、古アパートの窓ガラスの結露はいつもよりひどかった。手のひらサイズの雑巾で水滴を丁寧に拭き取る。
外気を入れようとベランダの窓を開けると、冷たい空気でほんの少し鼻の奥がツンとした。ハッカを吸ったようなすぅっとした感覚が鼻腔を通り抜けていく。と同時にどこからか焦げ臭い焼き魚の臭いも。これもいつもと変わらない日常だ。
「爽やかな朝だねぇ」
――こんな風に後ろから二番手推しが話しかけてくること以外は。