第9章 さよなら五条先生
「ごじょ……せん、せ?」
唇はうなじへと回り、優しく髪を持ち上げられてチュッと強く吸い上げられた。
じゅわっとした痛みと熱が走る。五条先生は私にキスマークをつけたのだとわかった。
三角形のほくろのとこ? ドックンと心臓が大きく鳴った。
「千愛。僕はいったん戻ることにするよ。君と同じほくろを持つ女の子を一人知ってて、僕は確かめなきゃいけないことがある」
うなじに手を当てる。まだじんわりと彼の唇の熱が、唇の形が残っている。
「それと一つ公式に書いてないことを君に教える。ネットで隅々まで探してもファンブックを見てもどこにも書いてなかった僕の完全シークレット」
「シークレット? そんなものがあるの」
五条先生は大きく頷いた。表情は真剣だ。