第9章 さよなら五条先生
私はにっこりと笑った。心とは裏腹に。
本当はここにいてほしい。
私と五条先生のハッピーエンドにしたい。
でも無理だ。好きだと告白しないのは言ってもハピエンにならない事を知っているから。
五条先生の住むべき場所は二次元だ。仲間も運命もそこにある。
「私は先生にたっぷり救われた。ありがとう。私にかかった呪いをきっと先生は祓いにきたの。それが終わったから赤い光が発動したの。五条悟がここでやるべき事はもうない」
「やるべき事……か。千愛が言ってる事は一理あるかもしれないな」
「それにねせんせ。節約もそろそろ限界。二人分の生活費はきついからお帰りください」
もう一度しっかり笑顔を作ると、突然、髪に触れられた。
耳の後ろを指先で撫でられ思わず体がビクッとする。
えって戸惑う時間すら与えられないくらい早急に、首筋に彼の唇が押し当てられた。
柔らかいその感触に、ゾワっと全身が粟立つ感覚に襲われる。