第9章 さよなら五条先生
「どんなに愛しても、また一からの関係になるかもしれないんだよ。抱いてもキスしてもまた手繋ぎもしない関係から……」
「いいじゃない。例え0からのスタートでも何度でも恋をして僕は楽しむよ。君の中に流れてるものは同じで、ひかれる部分は一緒だからさ。そして君は絶対にまた僕を好きになる」
「五条先生……」
つつっと頬を伝った涙が次々溢れて止まらない。
五条先生は私の心を癒すためにこの世界に来てくれたんじゃないかとすら思えてくる。
目の縁からほろりと流れ落ちた涙を先生が親指でそっと拭ってくれた。
「こういう出会いをなんて呼ぶか知ってる?」
「なに。知らない」
「……運命だよ」
ガラス玉みたいなその瞳の中に吸い込まれそうになる。その中に私が映り込んでいて空に守られているみたいだ。
どうしようもなく愛おしい。このまま彼に抱かれたくなる。隅々まで愛してほしくなる。