第9章 さよなら五条先生
私はこれまで閉じ込めていた自分の事をまるでダムを放流するみたいに一気に話した。
ナナミンが推しの理由が本当は全く分からないこと。ちっちゃい時の思い出も含めてすべてが断片的で、家族も自分の出生もはっきりしないこと。
彼氏や友達が怖くて距離を取って暮らしていたら、なぜか呪術廻戦にハマってオタクみたいな生活に至ったこと。
過去の抜け落ちてる自分を知ろうとしたこと。
「んであいつのとこに行ったってわけ。自分を取り戻すために」
「うん」
「危険だとは思わなかった?」
「そりゃ、少しは」
「関心しないよそのやり方は。僕は賛同出来ないね」
……叱られた。心配して言ってくれたんだろうけど先生にはこの気持ちはわからないよね。