第9章 さよなら五条先生
これが最強なのかと震える次元だ。呪力で身体能力を上げなくても凄まじい。呼吸は何一つ乱れていない。
5人目の男の重そうなパンチを五条先生は手のひらでドスっと受け止めた。大丈夫かな、と見守る。
「ジャンケンしてんの? なら僕の勝ちー。でも違うよね。殴るんならもっと拳に力こめないと」
静かな口調だけどそれが逆に恐怖を感じさせる。
受け止めた五条先生の手のひらが、相手の拳を包み込み、みるみるうちに指先に力が入って、そのまま相手の拳を握り潰していた。
ミシッと骨が軋むような音が聞こえた。
「いってぇーええええ!!」
「あ、痛かった?」
男が唖然と固まった時、五条先生は腕を掴んで引き寄せ、膝を腹に打ち込んだ。
「ごめんね。加減できないや」
男は悶絶しながらアスファルトに転がった。