第9章 さよなら五条先生
「僕から伺ったのにわざわざすみませんねぇ」
「いいのよ隣なんだから。それにしてもジョーって日本語上手ねー。もっといっぱい教えてあげたいわ。女が喜ぶ言葉とか、口説き文句とか」
なに言ってんの!
胸の中でイラっとした自分に気が付いた。スミレさんと五条先生はいつの間にか親しくなっていたようだ。
スミレさんが言うには、ボブと一緒にゴミ出しした時に五条先生と顔を合わせて、その時初めて挨拶したって話だけど、LINE交換もちゃっかり済ませてるのを知っている。
まさか逆ナンした?
可愛い10歳年下のボブがいるのに!
しかも今スミレさんが五条先生に渡したのはスマホのようだ。先生がビロードの袋を開けて中身を確認している。
一体何に使うんだろう。二人の秘密の連絡用? 怪しすぎる。スミレさんはまだ五条先生とお喋りしている。