第9章 さよなら五条先生
玄関に向かいドアを少し開くと、ぐいっと扉を開けられて、お隣のスミレさんが入ってきた。
胸の中がもやっとする。昨日もスミレさんはうちに来た。
「神坂ちゃんこんばんは。ジョーいる?」
「いますけど……」
「呼んできて」
私が呼ぶ間でもなく後ろから足音がした。
ドレッドヘアーとサングラス姿に変装した五条先生がドーンと私の横に立つ。スミレさんが半歩彼に近付いた。
「ハーイ、ジョー。これっ頼まれてたもーの」
スミレさんが何かを手渡した。黒いリボンのついた赤いビロードの袋。奇抜な色使いだ。なんだろ。