第9章 さよなら五条先生
「ふぅん。お兄さんっていくつ?」
「……」
全く見当がつかなかったから適当に答えた。
「27かな。みっつ上」
「そう……」
ちなみに父親の記憶は皆無だから、蒸発したことにした。家族の質問への回答はもういいかな……これくらいで。
それにしても家族はどうして私になんの連絡もしてこないのだろう。ひょっとしたらもうこの世にいないのかもしれない。
もしくは縁を切られている。もしくは服役中だったりして……と思わなくもない。
調べるのが恐ろしくて、気になりながらも放置状態になっていた。
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そこにピンコンと呼び鈴がなった。席を立って、はいと返事をすると、甘い女性の声でハロハローって声がする。