第7章 急接近
「ねぇ、こうやって手を繋いでいたら不安や悲しみが少し薄まらない? 私は大丈夫って気持ちになる。そういう術式だって思ってる」
「かわいい術式だね」
「最強にも届くといいけど」
「ちゃーんと届いてるよ」
「よかった」
五条先生も少しこちらに体を寄せたみたいだった。
繋いだ手は一瞬離れたけれど、でもそれはまたすぐに重なって、指が交互になるよう絡み合い、恋人繋ぎへと変わった。
私よりごつごつした節で太くて男らしい指を感じる。そしてじんわりと温かい。静かなベッドの上で手が絡み合う。
「おやすみ」
そう言って五条先生は先に眠りについたようだった。原作を読みきった後より幾分穏やかそうな顔に見えた。
私も明日仕事だし消灯して目を閉じた。そのまま寝ようとしたけど急にズキンとこめかみに痛みが走る。