第7章 急接近
おそらく持病の頭痛だ。今まで就寝前のリラックス状態で発病した事はなかったけど、ズキンズキンと訴えてくる様にこめかみが疼く。
耐えきれなくて、こめかみを押さえながらゆっくり目を開けると、視界の端に明るい光を見た。
暗闇の中に差し込む赤い光を。
反射的にそのレーザーのような閃光の出所を目で追うと、光が漏れ出ている先はクローゼットからだった。
「あ……」
五条先生に言わなきゃと思った。彼は獄門疆から出てくる時に赤い光に導かれたと話していた。起こさなきゃいけない。今すぐ!
――だけど私は出来なかった。どうしても出来なかった。
繋いだこの手を離したくなくて。
後もう少しだけ、一緒にいたくて……。