第2章 クローゼット
「僕が床で寝るから」
「駄目ですよ、体が痛くなる。私は何度かベッドから落ちてて慣れてます」
やり取りを交わすけど折り合いが付かず、しばらくして、五条先生は私をベッドに座らせて真向かいにしゃがみ込んだ。
「千愛ってさ、七海が好きなの?」
「はい?」
「それ七海でしょ」
ベッドの枕元に置いてあるチビぬいを指さして言う。UFOキャッチャーでゲットしたナナミンぬいだ。かなり恥ずい。
「あぁ、えっと……1番の推しキャラです。かっこいいから置いてるの」
「ふぅん。じゃ、二番目に好きなのは?」
「二番目? 二番目は……」
「僕だよね、だって、あそこにもここにも僕いるもん」
部屋の中には少し五条グッズがちりばめられていた。アクスタとか1番くじで当てたタオルとか、ガチャガチャのキーホルダーとか。
「一応……五条先生が二番目です」
本人を目の前にして言うのって変な気分だ。これまためちゃくちゃ恥ずかしい。
五条先生は二番目っていうその順位に不服そうではあったけど、「君さえよければ一緒に寝る?」って言う。