第2章 クローゼット
宿儺が暴れて、乙骨君が日本に戻ってきて、羂索による術師同士の殺し合いが行われている。
こんな阿鼻叫喚な地獄絵図になっている事を知っても、五条先生は自分がいなくなったら大きく世界が変わるであろう事は想定内だったようで、動揺はそれほどでもなく、あの傑のガワは羂索ねって、もう一度その対象を見つめていた。
「まずったよなー、どーすっかな」
五条先生はひとり考え込んでいる。
「先生、考えるの明日にしません? 私も一緒に考えるので。今は深夜だしいい考えが浮かばない」
「僕はいいから千愛は寝な」
「申し訳ないんですけど電気は消す派なんです。暗くしないと寝れないので、先生も寝てもらえませんか?」
ベッドに移動しようとして、私は、ハッと気付き押し黙った。この部屋にはベッドが一つしかないのだ。ソファーとかそんな洒落たものは場所を取るから置いていない。
五条先生と二人でダブルベッドを見つめる。さすがにこれはまずい。
「先生、ベッドどうぞ」
私は座りかけたベッドから離れて、床にブランケットを何枚か敷き、床の上で寝ようとした。ベッド以外で寝る場所はそこしかない。
御三家のぼんで最強呪術師の五条悟をこんな古くて硬い木床に寝かせるわけにはいかない。
すると五条先生は、女の子はそんなところで寝ちゃいけないよってベッドの上に私を引き上げた。結構優しいんだ……なんてふと思う。