第2章 クローゼット
「結界の外にはじき出されたような感覚があるんだけどそういうこと」
「こんな事ってあるの?」
「僕が知る限りでは聞いた事ないね。けど突然訳の分からない事案が発生するのが呪術の世界だから」
おっしゃる通りだ。死滅回游も特級過呪怨霊の里香ちゃんもまさにそれだもん。
本当はベッド下に収納してあるコミック全18巻を読んでもらいたかったけど、そこに何かヒントがあるんじゃないかと思ったけど、漫画の中には五条先生が知らない辛い出来事もたくさん描かれている。
七海も夜蛾学長も亡き人になり、野薔薇ちゃんは顔面が吹っ飛び生存不明だ。
いずれその事実を知るにしても、今、私の真ん前でそれを五条先生が知るのは見るに耐えない。私の心がもたない。
コミックは11巻までしか持ってないと嘘をついて、そこまで読んでもらうことにする。ちょうど、獄門疆に五条先生が封印されて、みんなにそれが知り渡り、助けに行こうという流れで終わっている。
その後は、本誌で今わかっているのはこんな状況ですと、術師たちの死は除いて、死滅回游が行われている事を口頭で説明した。