第7章 急接近
「わかってるよ。僕は最強だから封印された。そして僕が呪術界にいたらお話になんないからこうなってんでしょ。ただね、やっぱりひとり置いてかれるのは、ちょっと寂しかったりするんだよね」
何も言葉が出なかった。ストーリー上の都合――それは間違っていないと思う。励ます言葉も見つからない。
置いていかれる寂しさ――か。
今の私にそれを言われてもいまいちピンとこない。
想像を膨らませたところで、生まれながらに才を持った最強呪術師の心なんてそう簡単に理解できるものじゃない。
周りが死ぬ。離れていく。それでもまがまがしい呪霊や呪詛師と向き合う日々。
強い仲間を育てたくて教育しても去っていった教え子も亡くなった生徒もいただろう。
それでも――寂しさを味わっても腐ったみかん箱状態の呪術界をリセットしたくてまた前を向く。
私ならいっぱいいっぱいだ。