第7章 急接近
どれくらい時間が経っただろう。しばらくしておもむろに彼は口を開いた。
「僕はさ、いつも置いてかれる側なんだよね」
「置いてかれる? それは……生死を意味してる?」
「それもあるけど」
コミックを横に置いた五条先生が私の方に顔を向ける。
「傑もそう。ある日突然僕は置き去り。さっき千愛にも置いてかれそうになったしね」
「……ごめんてば」
「んな顔しなくていいよ。半分ジョークね」
頭をポンポンされたけど半分は本気だから、置いてかれるのはよほど嫌なんだろう。
「んで今回の獄門疆もさ、僕だけひとり蚊帳の外で取り残されてるわけ」
「……」