第7章 急接近
そっか……。そうなのかな……。荷物を下ろすと同時に手首が解放された。もう一度先生をじっと見上げる。
「ここにいても邪魔じゃないの?」
「邪魔だったら引き止めたりしないよ。それに千愛が僕に言ったんじゃん」
「ん?」
「なんかあったらドーンと受け止めてくれんじゃないの? 僕のこと」
「……そうだね、そう」
向かい合ったまま柔らかな微笑みを交わした。これは渋谷デートの帰りに私が五条先生に言った言葉だ。
――この世界にいて辛くなったら言ってねって。その時は私がドーンと受け止めてあげるって。