第7章 急接近
「なら絶対行かせたくないね」
サッと左手首を取られる。あまりに急な行動に驚いて、思わず手首に視線を落とした。
軽く振ってみるけどがっしりホールドされていて振り解けない。痛くはないけど離してくれそうにない。
五条先生がそんな触れ方をしたのは初めてだ。
「どうしたの?」
「ここにいてよ」
間髪入れず返ってきた言葉に、手首の脈がドクッ、ドクッと激しく波打つ。予想外の展開に頭がパニくる。
少し困ったように眉尻を下げながら口を開いた。
「でも……」
「ひとりにすんなよ」
…………それは随分と親しげな人に言うような、まるで高専時代の五条悟を思わせるような言い方だった。