第7章 急接近
キッチンにいた私はベッドに腰掛けている五条先生に向かって声をかけた。
「あの、五条先生、私ちょっと出かけてきます。ネットも繋がった事だし、帰る時は五条先生のスマホに連絡いれるからゆっくり過ごして」
ネットカフェでも行こうと思い、一、二泊出来そうなお泊まり用品を棚から取り出す。
しゃがんでそれらをカバンに詰め込んでいると、大きな影に覆われた。見上げると、青い瞳が真っ直ぐ私を見つめている。
「出て行かなくていいよ。ここは千愛の家だし出て行くなら僕の方でしょ」
私は返答代わりに大きく首を横に振り、すっくと立ち上がると、お泊まりセットを入れたバッグをよいしょと肩に掛けた。
「行ってきます」
「気遣ってんでしょ、僕のこと」
「ううん違う。ほんとに呼び出しがあったの。へへ、男友達だよ。折角デートの練習したし行ってくるね。朝帰りになるかも」
楽しげに出かける様子を見せれば五条先生は心置きなく私を見送り、ひとりになれるだろういう算段だった。
だけど私の思惑は大きく外れた。