第7章 急接近
「のぼせないように」
浴槽に浸かっている私の頭に軽く手を乗せる。私はもうとっくにのぼせてるような気もする。何もかもがほてっている。
その時彼が私に見せた碧眼は、いつもより艶っぽいような気がした。青く揺らいだ炎のような色欲が瞳に灯されているような気がした。
それはきっと私と体が触れたことによる生理的な現象だと思うけど、でも私のことをひとりの女の子って言った時には別の感情もあったような気がする。
だけど、五条先生は勢いで私を抱いたりはしない。
前からそう感じてはいたけれど、彼は何かを大切にしている。
その大切なものは何なのかはわからないけど、性欲を抑え込めるくらい強く大切に思う何かだ。