第7章 急接近

　だけど、私は言われた通り大人しくじっとしていた。とにかく怖いから。

　先生がナメクジに向かって手を伸ばす。その手がナメクジに触れる寸前、ナメクジが大きく動き出した。

「あ」

　先生が声を漏らした時、私は目を疑った。

　ナメクジがタイルから、湯船の中に滑り落ちてきたのだ。ぬめりとした表面をこちらに向けている。

「いゃあぁぁあああー」

　五条先生の腰に両手を巻きつけてしがみついた。

　きしょい！　きもい！　嘘でしょ。
　ナメクジとお風呂に入るなんて耐えられない。
　
　見たくないし近寄りたくなくて、五条先生の胸に顔を埋めた。先生の上半身は裸体だけど今はそんな事言っていられない。