第7章 急接近
この体に抱きしめられて毎朝眠っているのかと思うと、ぽうっと顔まで熱くなってきた。目のやり場に困ってしまい視線を脇にそらした。
すると、もわっと立ち込めた湯気の隙間から浴室のタイルが見えて、薄茶色の何かがいるのに気が付いた。
なんだろうとじっとそれを凝視する。
「きゃぁぁああー!」
「なに?」
五条先生がアイマスクを親指でくいっと上げて私を見下ろした。
「ひゃっ見ないで。ううんやっぱり見て」
「どっち?」
「見ないように見て」
「難しいこと言うね」
アイマスクを元通りに付け直そうとしたから「いいから見て!」とお願いした。
「どうしたの?」
「助けて……苦手なの」