第7章 急接近
私と五条先生がした最初で最後のデートは、渋谷事変の現地調査とデートの練習という目的だった。
だけど、いつの間にか私と五条先生は、ふたりの時間を心から楽しんで、笑い合って、そして普段は見せない心の内側をほんの少し開放して、本物のデートをしていたんだと思う。
上手く言葉に出来ないけれどあのデートで何かが変わった気がした。急接近したような気がした。
この時は、別れが間近に迫っているなんてまるで感じなかった。
だけど、今になって思えばさよならへのカウントダウンはもしかするとこの渋谷デートから始まっていたのかもしれない……。