第2章 クローゼット
「初対面で悪いんだけどさ、とりあえず一晩だけここ泊めてくれない? 明日には出て行くよ」
「出て行くって、それからどうするの?」
「男ひとりなんとかなるでしょ」
「そう、かな……お金もないのに」
まさか五条先生はこの世界が呪術廻戦の世界とは違うだなんて思ってないだろう。そもそも自分が漫画の世界の人間だなんて思いもしないはず。
明日になったらスマホで誰かに連絡を取って頼ろう、とでも考えているのかもしれないけど、こちらの世界に五条先生の知り合いは一人も存在しない……。
それに、この人がもし本物の五条先生だとしたら、このまま外に出したら大パニックだ。あっという間に人が群がって、SNSでは24時間トレンド入りしてYahooニュース行きだろう。
五条悟完全顕現! って見出しで。