第6章 デートの練習
だけどみんなが真剣に景品とにらめっこして位置を微調整しながらアームを動かしている中、五条先生は片手をポッケに突っ込んでもう片方の手でアームをちょちょっと操作して2コインくらいで取っちゃうんだから驚きだ。
カラビナがついていたから早速、家の鍵に付けてみた。小さな五条先生がゆらゆら動いている。
「よく見たら可愛いかも」
「よく見なくても可愛いでしょ」
「ん、まあ……」
「んじゃ可愛い僕と撮ろうね」
連れていかれた先は定番のプリクラで、こちらもまた本当のカップルみたいに頭寄せあって、写真に名前や絵を落書きしてプリントした。
ちょうど壱万円使い切ったくらいかもしれない。
「ジョー、楽しかった。すっごくいい休日だった」
「僕もかなり楽しんだよ」
「ほんと? 予算が物足りなくてごめんね」
「デートって誰といるかって方が大事じゃない?」
「そうかもね……。私もちゃんと人と向き合わないとね。今度、誘われることがあったらデートしてみる。この経験を活かすよ」
「……」
急に黙り込まれた。
何この反応。