第6章 デートの練習
コインを投入した。さっきは集中が足りなかった。先のコースを見通してコーナリングする。ジャンプしてからのドリフトで五条先生のカートに並んだ。
激しくぶつかり合う。当たり負けしてないはず。
だけど、なんか知らないアイテム使って、ブゥーンって音を立てて前に行き、私はあろうことかクラッシュした。
なにそのアイテム。アップデートされてて時代遅れになってた。画面には”FINISH 2位”の文字。
「もう一回!」
チャリン。
「もういっちょ!」
チャリン。
何度やっても勝てない。隣を見ると涼しげな顔してる。こうなったら最後の手段。己にプレッシャーを与える!
「ジョー、賭けよう」
「なにを?」
「育ててる豆苗の水換えと、窓ガラスの結露拭き、さらにトイレ掃除一週間分!」
「所帯じみてんねー」
「っるさーい。Go!」
お喋りしている間にロケットスタートしてやった。
覚えたての妨害アイテムを駆使して先行する。先に私が走ってるから抜かれなければ勝ちだ。ドリフトテクに磨きがかかる。そして目の前に飛び込んできたのは。