第2章 クローゼット
「クローゼット、開けてみるので側にいてもらえますか?」
息を殺してそーっとクローゼットを開いた。隅々まで中を見るけど何もないし、変わりない。スミレさんも覗き込んだけど、巨大Gはここにはいないようだ。
「何もないじゃない。ったく人騒がせな子。気のせいね」
「すみません」
夢でも見たんじゃないのと言われる。ちなみに古い建物だから、電化製品の振動だとか、水道管の水流だとか色んな音が混じってガタガタ聞こえることがあるらしい。
しばらく様子を見ていたけれど、それ以降何も音は鳴らないから隣人は部屋へと戻って行った。何だったんだろう。
ハハ、実は呪霊だったりして。一般人の目には見えないけどいたのかも、なぁんてまたオタクな発想が浮かんでしまう。
こっそり羂索にマーキングされてて、死滅回游のプレイヤーになってたら怖いよなぁ。馬鹿げた事を思いながら再びベッドに横たわった。日常で起きた現象を呪術廻戦と重ねるあたりどうしようもない。
巨大Gの行方も気になる。ゴキブリといえば黒漆死だ。憂太とのマウストゥーマウスきつかったなー。今後も予想もつかない過酷なシーンが待ち受けているんだろう。そんな事を思ってまた瞼をゆっくり閉じた。