第86章 #86 誰が為に心臓を捧げる
「ほわぁ!!」
「……」
「リ、リヴァイ?どうしたの?」
「あったけぇ…」
目をパチパチさせながらリリアは固まっていたが、気持ちよさそうに擦り寄ってきたリヴァイを見て柔らかく微笑んだ。
「はーい、朝からごちそうさま」
突然声をかけられ、二人は顔を上げ声の方を向いた。
そこに立っていたのはピークだった。
「おはようピークちゃん」
「おはよう」
「おい、ピーク。部屋に入る前はノックしろって習わなかったか」
ピークはジトっとした目でリヴァイを見る。
「声はかけたわよ」
「ごめんね、ピークちゃん」
「そんな事どうでもいいんだけど、仮設の家が出来たからそっちに移ってもらうようになるから。あなた達は二人一緒でいいでしょ?」
「うん、いいよ」
即答したリリアに驚きリヴァイが目を丸くした。
リリアが首を傾げる。
「何?」
「いや……あれだけ寝る時以外の同室は嫌がったのに即答するとは思わなかった」
「そりゃあ…あの時はまだ恥ずかしかったし……でももう一緒でもいいでしょ?結婚するなら」
あら、とピークが呟いた。
リリアとリヴァイが結婚していないという事に驚きだったようだ。
「とっくに夫婦かと思ってたわ」
「名字が違うだろうが」
そういえばそうね、とピークが頷く。
「全部終わったら一緒になろうねって約束してたの」
「そう、良かったわね、二人とも生きていて。おめでとう、幸せにね」
へへ、とリリアが笑う。
その笑顔はとても幸せそうだ、ピークも柔らかく笑い返した。