第82章 #82 戦え
飛行艇が離陸し数分が経った。
機内に会話はなく重い空気が漂っている。
確実に先程のハンジとの別れが尾を引き、これからどうすれば良いのか分からない。
「燃料が…」
「あぁ…半分しか入れることが出来なかった…」
燃料の残量を確認したアルミン、フロックによる燃料タンクへの攻撃と、地鳴らしの到着により燃料は半分しか入れる事は出来なかった。
「スラトア要塞まで保つかな…」
「絶対に辿り着いてみせる。ハンジさんが繋いでくれたこの飛行艇…最後の望み、俺が必ず基地まで届けてみせる!!必ずだ!!だから必ず地鳴らしを止めてくれ。何としてでも…」
「…あぁ。頼んだよ、オニャンコポン」
アルミンは振り向き皆の方を見た。
「じゃあ作戦を話し合おう」
リリアもリヴァイにもたれたまま、静かに目を閉じていたが深く息を吐くと姿勢を元に戻した。
リヴァイが視線だけをリリアに向ける。
「リヴァイ…」
「何だ」
「気合い!!お願いします!」
気合いとはなんなのだろうか、皆がリリアを見る。
「……手が痛てぇ」
「我慢して下さい!」
はぁ、とリヴァイがリリアに体を向ける。
リリアもリヴァイに向かい合い、ジッと彼を見つめた。
「力入らねぇけど、一応歯食いしばれ。右?左?」
「はいっ!右で!!」
「え??ちょっと…?兵長達…何を…」
するとリヴァイが右手を振り上げてリリアの頬をバチンッと叩くと、反動でリリアの体が少し傾いた。
「ちょっ!ちょっと!!」
ピークが慌ててリリアの体を支えた。
他の者達は口をあんぐり開けたまま固まっている。