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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第80章 #80 エレンの居場所



船はまだ航行している。
あとどのくらいでオディハに着くのだろうか。
通路の窓から外を見ながら、リリアはとある人物の船室に向かった。


コンコンと扉を叩くが返事はない。
ゆっくり扉を開けると、その人物は寝ており、苦しそうな息遣いで布団が上下に揺れている。
リリアは船室に入るとその人物、イェレナを見つめた。

イェレナは骨折からきた高熱にうなされていた。
リリアは近くに置いてあったタオルを手に取ると、汗で濡れている彼女の額を拭いた。

「……?リリア…さん?」
「あ、起こしちゃった?ごめん」

リリアに気付き、イェレナはゆっくり体を起こす。

「いいよ、寝てて」
「いえ…だいぶ良くなりました。どうしてここへ?あぁ…エレンの居場所を聞きに来たのですか?」
「それは後からハンジが来るんじゃない?私はただイェレナに会いにきただけだよ?」

まだ肩で息をしながらイェレナがリリアを見つめる。

「意味が分からない…」
「友達が苦しんでるのに放っておけないでしょ?!」
「……はい?私がいつ貴女と友人になりましたか?」
「えっ?!本当にダメなの?」
「貴女とは友人になりたくないと伝えたはずですよね?」

リリアがションボリ俯く。

「貴女には悪かったと思っています。私のせいでたくさんの命を奪わせてしまい……すみませんでした」
「いいよ、それはもう。動機はなんであれやったのは私自身の判断だから。イェレナは気にしないで」

暫く沈黙が続く。
するとリリアがイェレナに掛けられている布団をバフっと叩いた。

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