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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第76章 #76 証明するために



皆を乗せたピークが港に向かって走り出した。
リヴァイが落ちないようにガビとファルコが支える。
戦闘は予想外に激しかった。
銃弾が飛び交い、巨人化し外で戦っているライナーやアニには容赦なく雷槍が撃ち込まれる。
それらを仕掛けてくる兵士達を倒していく者が数人見えた、ミカサ、ハンジ、そしてリリアだ。

「リヴァイ兵長!あそこ!!リリアさんいる!!」
「……」

ガビが指差した先にいるリリアをリヴァイは見つめた。
一人、また一人と兵士を倒していく、今彼女は自分の強さを証明しようと、向かってくる者達を容赦なく斬っている。
殺さなければ殺される状況だと言っても、彼女が今やっている行動は自分を認めさせたいが為の虐殺ではないか?

いいのか、止めなくて。無事にここを切り抜けた時に彼女は何を思うだろう。


「どうやって止めろってんだよ…」
「え?」
「アイツは優しいから……今まで心の奥底にその感情を隠してたんだろ……侮辱されたと思う程に」

ならばリリアは
少なからず昔の俺の行いを恨んでいる

相当なツラさを溜め込んで、溜め込んで、溜め込んで…
それがイェレナの言葉がきっかけで爆発したのだろう

「リリアさんは恨んでないよ。だって兵長の厳しい訓練があったから今ここにいるんでしょ?今、生きてるんでしょ?兵長と一緒にいるんでしょ?」
「ガビ…」
「リリアさんはただ認められたいだけなんだよ。自分の努力を……頑張った自分を褒めて欲しいだけなんだよ。だから認めてくれたリヴァイ兵長の事大好きなんだよ。恨んでなんかないよ!」

なら、とファルコが口を開いた。

「イェレナさんとリリアさんは似てますね」

イェレナは視線を上げないまま、静かに話を聞いていた。

「イェレナさんは歴史に自分の名前を刻みたかったんでしょ?要するに自分を認めて欲しいんですよね?世界に」
「………」
「リリアさんも規模は違えどそれに似てる。誰かに認めて欲しい、世界とまではいかないけど身近な人達に。二人共根本は一緒な気がします」

するとイェレナがようやく顔を上げ戦っているリリアを見つめた。


自分と彼女が……
同じ?


「だから、イェレナさんが認めたら戻ってくるかもしれない。多分ですけど」
「……冗談じゃ…ないですよ」

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