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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第76章 #76 証明するために



鳴り止まない銃声、立ち上がる煙を見ながらリリアは口を開いた。

「私、行ってくる」

その言葉に全員が目を見開いた。
今一番安静にしておかなければならないのはリリアなのに。

「オイオイオイ、何を寝ぼけた事言ってやがる」
『リリア、あなたは戦ってはいけない、そうハンジに言われたでしょう?』

リヴァイとピークが止めようとするが、リリアは振り返りもせず港の方向を向いたままだ。

「私が行かなくちゃいけない」
「お前はジッとしてろ。あいつらに任せて……」

「私が行かなくちゃいけないんだ!!!」


激しい口調で返ってきた言葉にリヴァイが驚くと、リリアがゆっくりと振り向いた。

「リヴァイ、私が訓練兵の時、何度お兄ちゃんに辞めろ、帰れと言われたと思う?」
「は?」
「私は……訓練兵の時成績が悪かった。最下位から数えた方が早いくらい。上位10位になんて、とてもじゃない入れない実力だったの」

何とか調査兵団に入れたものの、今のままではエルヴィンの側にいる事など不可能だった。
壁外調査に出ればすぐに死んでしまうだろう。

周りからも"エルヴィンの妹なのに"という言葉がよく耳に入っていたものだ。
自分の実力はリリア自身が一番よく分かっていた。
このままではエルヴィンの顔にも泥を塗ってしまう、エルヴィンの側にいたい、エルヴィンの夢のために自分を使ってほしかった。

しかしエルヴィンからは自分の補佐をやりたいというのであれば自分の作る階級である兵士長にならないとやらせないと言った。
そしてリリア本人も本気で強くなりたかった。

だから人類最強と言われていたリヴァイに訓練を頼んだのだ。


「それから私は毎日、毎日訓練に明け暮れた。血反吐を吐きながら努力して、努力して、努力した!!そして…やっと念願の兵士長になった」

意外な事にリリアが兵士長になった時、異論を唱える者が誰一人いなかった。
あの時のリリアの努力を皆が知っていたからだ。
おめでとう、良くやった、調査兵団全員がリリアの昇格に賛成していたのだ。

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