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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第75章 #75 港へ



皆は集まり作戦を話し合った。
なるべく戦闘は避けたい、そのためにアルミン、コニーにまず車力と鎧の巨人が海へ逃げたと伝え、アズマビトの整備士を飛行艇に向かわせる。
そこで飛行艇を完成させ、どうにかして皆を乗せてここを去るというもの。

上手くいくかは分からない、賭けるしかない。
戦闘になる事も考慮し、皆装備を整えた。

「リリアはリヴァイの近くにいてね。一応装備をつけておいてもらうけど、戦闘になってもリリアは戦わない事」
「……でも」
「でもじゃない!今は体を大事にする時だ」

ハンジがリリアの肩を叩く。

「ピーク、頼んだよ」
『えぇ』

ガビとファルコ、イェレナやオニャンコポンは戦う術がないため今回の作戦には参加しない。
リヴァイも体が動かないために待機組だ。
そんな彼らをピークに任せ、ハンジ達は港へと向かっていった。


無事に飛行艇を手に出来るのを祈るしかない、リリアは拳を握って皆を見送った。
自分は本当に祈る事しか出来ないのだろうか。

『リリア、こっちに。安静にして』

ピークの呼びかけにリリアはリヴァイの隣に腰掛けた。
リヴァイも先程まで寝ていたが今は目を覚まし、岩に腰掛けている。
隣に座ったリリアの頭をリヴァイは優しく撫でたが反応はなく、ただ辛そうな顔をし真っ直ぐ前を見据えていた。


どれだけ時間が経っただろう。
まだ数十分、だがリリアには数時間のように感じた。
その時だ。遠くから銃声が聞こえ、皆が目を見開く。

まさか戦闘が始まったのだろうか。
リリアは立ち上がり、港の方を見た。
立ち登る煙、止まない銃声、これはもう明らかに戦闘が始まっている。
作戦は失敗だ、戦闘が始まっている。

「……みんな」
「やっぱりダメか…何故こうなるんだ」
「人から暴力を奪う事はできないよ、ねぇ?兵長」

イェレナの言葉にリヴァイは眉をひそめた。
リリアはギュッと拳を握ると戦闘が始まってしまった港を見つめた。


行かねばならない


"私"が



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