第74章 #74 友の言葉
「どこ行くんだジャン!?」
「ジャン!?おかわりどうするの!?」
呼び止めるがジャンは振り返りもせずそのまま姿を消してしまい、ガビは落ち込み俯いた。
「ダメだ…行っちゃった…」
「ガビ、大丈夫?」
リリアの問いにガビはうん、と頷いた。
その騒ぎにようやくリヴァイが目を開け、ゆっくりと体を上げる。
「……うるせぇな」
リヴァイがキョロキョロと自分の周りを見渡す。
隣にリリアがいないのが気になるようだ。
黙ってどこかへ行ってしまったのではないか、と。
「リリア!」
「いるいる!ここにいるよ!なんか神経質になってるなぁ……」
それを見てガビとファルコが笑う。
「本当に仲良しなんですね」
「怖い顔してるけど凄く良い人なんだよ?仲良くしてね」
「ぷっ」
ふふふ、と笑いリリアはガビを座らせるとリヴァイの方へと戻っていった。
まだまだ動かしにくそうに手を伸ばし、リヴァイがリリアに手を差し出す。
その手をリリアは微笑みながら握った。
「ちゃんといるよ」
「……ん」
その光景をハンジが優しい眼差しで見守っていたが、直ぐに哀しげな表情をしてしまった。
辛い、二人の事を悪く言われるのはハンジにとってとても辛い事。
最悪な出会いからここまで、何度も立ち止まりようやく二人は結ばれたのだ。
どうか誰も邪魔しないで欲しい、この残酷な世界で二人の幸せがハンジの支えでもあるのだから。