第8章 #08 楽しき日
カラネス区の門の前にはたくさんの調査兵が集まってきていた。
皆、緊張の面持ちで出発を待っている。
特に104期生は入団後たった30日での壁外調査だ。
エルヴィンとリリアも兵達の間を通り、先頭へ向かう。
リリアの表情にも、もう不安はないようだった。
途中、リヴァイ班の皆の横を通る際、リリアがふと視線を向けると、皆が笑顔を向けていた。
リリアも周りには分からない範囲で笑い返す。
するとリヴァイがリリアの肩をバシッと叩いた。
リヴァイなりの頑張れ、という気合いの入れ方だ。リリアもリヴァイにそのまま返した。
「団長、まもなくです」
エルヴィンは後ろにいたリリアに手招きをし、リリアは首を傾げながら馬をエルヴィンの隣につけた。
「どうしました?」
するとエルヴィンがリリアの肩を抱き、自分に引き寄せた。
崩れたバランスを戻すためにリリアがエルヴィンマントを掴む。
後ろにいたハンジとミケが顔を見合わせ驚きの表情を見せた。
今まではこんな事をした事はなかったのに、余程エルヴィンも気を使っているのか、それとも何かを感じているのか……
するとエルヴィンは何も言わずにリリアから離れた。
「付近の巨人はあらかた遠ざけた!!開門30秒前!」
ついに壁外調査が始まる。
門を越えればそこは巨人の待つ危険な場所、生きて帰れるかは誰も分からない。
「いよいよだ!これより人類はまた一歩前進する!!お前達の成果を見せてくれ!!!」
おぉぉぉ、という声と共に皆が剣を掲げる。
「開門始め!!!」
ゴゴゴッと大きな音を立てて、カラネス区の門が上がり、そしてついに調査兵団は壁外調査へと出発した。
「進めー!!!!!第57回、壁外調査を開始する!!前進せよっ!!」