第71章 #71 分かれ道
誰もが寝静まった深夜、リリアも仮眠室に戻り目を閉じていたがやはり眠る事は出来なかった。
するとゆっくりとドアが開き、誰かが入ってきたのが分かった。
体を起こしドアの方を見るとそこにはミカサが静かにドアを閉めているところだった。
この部屋にはリリアだけではない、他の兵士も眠っている。
だから起こさないよう静かに入ってきたのだ。
「ミカサ?」
「リリア兵長、こんな時間にごめんなさい。ちょっと良いですか?」
「ん?」
「ハンジさんが来ています」
「え?」
リリアは慌ててベッドから降り、ミカサに付いて外に出た。
到着したのは壊れ、誰もいなくなった民家。
そこにはジャンの姿もあった。
リリアが家に入って来た事に気付いたハンジは立ち上がり笑顔を見せた。
「リリア!!」
「ハンジ……」
「良かった、無事だったんだね!心配したよ?」
その時、ボタボタと大粒の涙がリリアの目から溢れ出た。
ずっと張っていた糸がハンジを見た瞬間にほぐれたようだった。
「うえぇぇ?!リリア?!洪水!!涙が洪水!!」
「ハンジ…ハンジぃぃ!!!ハンジ!!うわぁぁあん!!」
手を伸ばしリリアはハンジに抱き着いた。
ここまでリリアはかなり自分の心を抑えてきた。
不安で不安で何度も押しつぶされそうになり本当は誰かに頼りたかった。
しかし部下達にそんな姿は見せられず、ここまで一人で耐えてきた。
そんな中ようやく自分をさらけ出せるハンジに出会え、もう我慢が出来なかったのだ。