第70章 #70 フロック・フォルスター
その後、リリアは仮眠室に向かい横になったがまったく寝付けなかった。
以前はあんなに眠気が酷かったのに、今は不安の方が勝り眠れない。
外はすでに暗くなり夜になっていた。
仮眠室から出たリリアは通路から島の外へ向かう巨人の列を見つめた。
巨人達は今もなお島の外に向かって歩みを進めている。全てを踏みならすために。
自分が巨人化しなかった理由、ジークの言葉やナイル、アルミンの反応でもう分かってはいる。
しかし認めたくない、自分にまだその覚悟がない。
リリアはそっとお腹に手を当てた。ここにいる小さな命の存在をまだ受け入れられない。
痛いよ!!お母さん!!お父さん!!
寒い、寒い……おうちに入れてよぉ…
お腹すいた……
助けて……助けて……
お母さん……お父さん……リリアは…いらない子なの?
痛い……
ボロボロと涙が溢れた。
ダメだ…自分はきっと同じ事をしてしまうような気がする
親とは何だ
愛情とは何だ
私はきっと子供を殺してしまう
産みたくない……産んではいけない……
こんな感情を持っている自分を見て
リヴァイは何と思うだろうか
最低だと思うだろうか
失望するだろうか
「ごめんなさい……ごめんなさい……リヴァイ」
親になる事が
怖くてたまらない……