第70章 #70 フロック・フォルスター
「出来たーーー!!!」
両手を上げハンジは荷馬車の修復を終えると、洗い乾かしていたマントをリヴァイに着せ、体を支えながら荷馬車に乗せる。
「よし!じゃあ行くよ!」
「あぁ」
森の中を進みながらハンジは空を見上げて呟いた。
「夜になったらシガンシナ区へ行ってみる。リヴァイは少し離れた所で待機しててね」
「あぁ」
「ところでさ、リヴァイに聞いておかなきゃいけないことがあるんだけど」
荷馬車は止めず、ハンジはリヴァイの方を向いた。
その表情は真面目だ。
「リリアの事どうするの?リヴァイはこれから先、リリアにこちらに来て欲しい?」
リヴァイは黙った。
リリアはお腹の中に子供がいる。本当ならば絶対に安静にしなくてはいけない。
こちらに呼んでは戦いはおそらく避けられず、命の保証はない。
しかし島に残っていれば安全に過ごしていけるだろう。
ただ、このまま会うことは出来なくなる。
リリアの顔を見ないまま二度と会えなくなる可能性は高い。
「リヴァイの意見をリリアには伝えてくるよ」
「……」
「悩むよねぇ。このままサヨナラになるかもだしね。夜までに考えといて」