第68章 #68 理由
「リヴァイ?また意識飛んだ?」
「……ハンジ、俺は……親になるのか?」
「そうだよ!!お父さんになるんだよ!!!パパ!親父!!」
「おぉ……」
キラキラと目が輝いているような気がした。
表情は包帯で見えないがかなり嬉しそうだ。
しかしすぐに再び沈黙してしまいハンジが顔を覗き込む。
「リヴァイ?どうした?」
「リリアが……喜ぶと思うか?」
どういう意味かがハンジには分からない。
「リリアは……親を知らねぇ…。アイツの…中の両親は…自分を痛めつけた怖い人間だ」
「あ……」
「すぐに……受け入れるとは…思わねぇ」
「でもさ、でもさ!リリアはリリアだろ?あの子は優しいから……」
絶対に大丈夫とは言えない。
リリアはこういう事に関しては敏感な方だ。もしかしたら自分も同じ事を、と子供を嫌がる可能性が高い。
リヴァイの言う通り喜ぶ顔が浮かばない。
「……ちゃんと話し合わなかった……俺の責任だ」
「リヴァイ……」
ハンジは壁のあった方向を見つめた。
地鳴らしが発動され今もなおここにも微振動が伝わる。
リリアは今、どうしているのだろうか。何を思っているだろうか。
本当に無事なのだろうか。
よし、と気合を入れるとハンジは再び荷馬車の修理を始めた。
とにかく何か行動を起こそう。
リヴァイの言う通り自分は蚊帳の外で何もしないなんて事は出来ない。
自分に賛同してくれる仲間を集い、止めるんだ、エレンを。
死んでいった仲間の意味を証明するためにも。
自分はまだ調査兵団団長なのだから。