第65章 #65 叫び
リヴァイが倒した巨人は大体10体、残りの20体をリリアに任せてしまった。
今までそんな数の巨人を一気に相手にした事がない、いくら実績のあるリリアでも危険だ。
しかも彼女は片腕だ、思えば巨人を討伐できる体ではない。
不安にリヴァイの足は早まった。
元いた場所に戻ると、大量の巨人の死骸の中に座り込むリリアの姿を確認出来た。
リヴァイは慌てて駆け寄り体を支えた。
「リリア?!大丈夫か?」
名を呼ばれリリアがゆっくり顔を上げる。
血塗れだが巨人の返り血だ、リリア本人にあまり怪我はなさそうだ。
リリアの無事に安堵したリヴァイは力一杯彼女を抱きしめた。
「リリア……良かった……」
「リヴァイ……」
「お前……巨人化しなかったんだな?」
リリアがゆっくりリヴァイを見る。
「した」
「は?でもお前、今ここに……」
差し出された手にリヴァイが目を見開く。
服が破れ、差し出されたその手は無いはずの左腕だった。
「巨人化する事でまず先に欠損した体の一部が修復したみたい……そのあと…体全体が巨人化すると思ったら止まって…」
「………」
「嫌だ…嫌だ……」
リリアが頭を抱えてうずくまり、リヴァイが背中をさする。
「私が巨人化するのはいつ?次にジークが叫んだ時?それとも時間差で?」
「リリア……」
バッと顔を上げリリアはリヴァイを見た。
「私がリヴァイに殺されるのはいつ?!」
「っ!!」
「私は……いつ巨人化して……リヴァイに殺されるの…?」
リヴァイの手が震える。
そうだ、巨人化したらもう殺すしかない。
それが例えリリアでも……