第64章 #64 マーレ産ワイン
「うーんと、痩せ過ぎだからたくさん食べて栄養摂って、あんまり立体機動で飛んだり跳ねたりしたらダメって言ってたかな。体、大事にしてって」
「……食えねぇ事は知ってたのか…飛んだり跳ねたり……あまり体を動かすなって事か」
「リヴァイ?」
(ピンポイントで注意したって事はアイツは知ってんだな…リリアがどうしてこんな状態なのか)
「リヴァイー」
「悪い」
リリアはもう一つ野いちごをパクリと食べ、お腹をさする。
「なんか今日はお腹空いてるかも」
「そりゃあいい事だ。監視は俺がまだやるからお前はテントに戻って食ってこい。食べられる時にたくさん食え」
「はい!」
頭を撫でられ気持ち良さそうにリリアは笑う。
やはりリリアには笑顔が似合うと思った。弱った姿は見たくない。
「ねぇ?」
「何だ」
「あと10分ちょうだい?もう少しリヴァイとくっついておきたい」
「……30分いいぞ。思う存分くっつけ」
「結構長い!」
森に入り1ヶ月が経とうとしている。
ここまで特に変わった事はなかった。
しかしこの数日後、幸せなこの時間を奪い去る
悪夢のような出来事が2人を襲った