第63章 #63 異変
リリアはリヴァイの所に向かったが、まだジークは来ていないようだ。
馬車の前で腕を組んだままリヴァイが待機している。
「ただいま」
「あぁ」
「仲良くは出来なかった。残念」
「だろうな」
リヴァイの隣に着くとリリアはしゃがんで息を吐いた。
「大丈夫か?」
「ん?あぁ、大丈夫!少し怠いだけ」
「オイオイオイ……全然大丈夫じゃねぇだろ。やっぱり残って…」
その時だ、兵士がジークを連れて来たのが見えてきた。
リリアは立ち上がりジークを睨むように表情を変え、今までの柔らかな雰囲気は消える。
二人に気付いたジークは手を上げた。
「よぉ!リヴァイ、リリアちゃん!!どこか移動するんだって?」
「うるせぇな、黙って馬車に乗れ」
「何だよ、教えてくれたっていいじゃないか。ねぇ?リリアちゃん?」
「あ?」
「こわぁぁぁい!!!」
ジークはわざと体を震わせながら馬車に乗り込んだ。
これから彼を壁外へ連れて行く。エレンとの接触を避けるためだ。
いつまでかかるか分からないが、リリアとリヴァイ、そして30人の調査兵団がこれからジークの監視に入り、兵団の指示を待つ事になる。
一体この先どうなるのか、誰にも予想は出来なかった。