第58章 #58 エレンからの手紙
数日間パラディ島で療養し、腕も完治とまではいかないが使える状態に戻ったため、リリアはリヴァイと共に再びマーレへ向かう事となった。
少しでも早くエレンを探さなくてはならない。
港へ向かうため門にいたリリアとリヴァイ、すると遠くから手を上げてこちらに向かってくる人物が見えた。
それはニコロだった。
「オーイ!」
「ニコロ?どうしたの?」
「ちょっと頼みがあって」
息を切らしながらニコロが小さな箱をリリアに渡した。
「これをサシャに渡してくれねぇか?焼き菓子なんだが」
「サシャに?分かった、必ず渡すよ」
「それからこっちはアンタ達に」
ニコロは別の小さな箱と、また別の少し大きな箱をリリアに渡す。
「これには軽食が入ってる、道中食えよ。こっちにはスープが入ってるから早目に飲めよ、冷めても美味いやつだが」
「わぁ、ニコロ、ありがとう」
チッと軽く舌を打ってニコロは顔を背けた。
しかしその顔は真っ赤に染まっている。
「お、俺は別にエルディア人なんて好きじゃねぇけど…お前らの事は気に入ってるから…」
「それだけで十分だよ、ありがとう」
「じゃあな!もう怪我するなよ!」
ニコロは慌てて走り去っていった。そんな彼の後ろ姿を見つめながらリリアは笑う。
するとリヴァイが口を開いた。
「なんだ、あいつサシャが好きなのか」
「知らなかったの?結構噂になってるけど。上手くいったら良いね!」