第57章 ●#57 君しか見えない
何故かリヴァイがリリアの胸元に顔を埋め甘えるように抱きついてきた。
いつもならリリアが甘えるのだが。
「えぇっと……リヴァイ?」
「何だ」
「は、ハンジに帰れって言われるなんて余程だよね。そんなに私いなくて寂しかった?」
ジッとリヴァイが上目で見つめてくる。
その視線にリリアは照れた。
(か、可愛い……なんて言ったら怒られるから口が裂けても言えないけど…)
「あぁ。俺はお前がいねぇとダメみたいだ。今回は尋問の件もあったしな…気になって仕方なかった」
そろりそろりと、リリアはリヴァイの髪の毛を撫でてみた。
もしかしたら嫌がるかもしれない、しかし思っていた反応と違った。
リヴァイはさらに甘えるようにリリアの胸元に顔を埋めた。
(普段とのギャップが凄い…!リヴァイ可愛すぎるよぉ……私もリヴァイが安心して甘えられる存在になれたのかなぁ)
「リヴァイ?」
「ん…」
そのままリヴァイから返事が返ってこなくなった。
(寝たーーー!!)
予想外のリヴァイの行動に頭が若干混乱気味だが、リリアは優しくギュッとリヴァイの頭を抱きしめた。
こんなにも自分の事を想ってくれる人がいるなんてどんなに幸せだろうか。
自分ももう離れたくない、ずっとずっと側にいたい。
「リヴァイ……早く家族になりたいね」
リリアのわがままでリヴァイを待たせている。
しかしエルヴィンの仇を取るまでは先に進めない。リヴァイもエルヴィンからの最後の命令を早く達成したいだろう。
二人の目的は同じ。
しかしこの先がどうなってしまうのか誰にも分からない。
生きるか、死ぬかも。
だから
幸せな今を噛みしめておこう
リリアはソッと目を閉じた。