第53章 #53 いざ、マーレへ
パラディ島はついに鉄道を開通する事が出来た。
自分達だけではなし得なかった事、マーレの義勇兵らあっての発展だった。
そして、鉄道開通式後についにマーレへ潜入する事を決めた。
敵が分からないのならば見にいけばいい、ハンジの提案により、団長であるハンジ、リヴァイ、リリア。
エレンとミカサ、アルミン、ジャンとコニー、サシャ、この少人数の調査兵団で行く事が決まった。
しかしリリアは少し気掛かりな事があった。
今までエレンの様子がおかしかったのが、最近になってそれが更に増したように思える。
一人で何かを考えている時間も多く、だが訊ねても大丈夫です、と決して教えてはくれない。
「オイ、リリア」
「はい!!あ、何?」
マーレへの出発は明日、リリアは部屋で持っていく物を鞄に詰め込んでいたのだが、考え事が優先され手が止まっていた。
突然リヴァイに声を掛けられ驚き跳ね上がる。
「手が止まっている」
「あー……考え事してた」
「時間も遅せぇんだから早くしろよ」
「うん。ねぇ?エレン最近元気ないよね、大丈夫かな」
リヴァイは息を吐くとリリアの髪の毛をクシャクシャと撫でた。
「やだー!何?!」
「お前が気にしても仕方ねぇだろ」
「そうだけど……悩みがあるなら聞きたいし」
「だとしてもタイミングってのがあるだろうが。明日はマーレに行くんだぞ?早く寝ろ」
はい、とリリアは唇を尖らせ再び荷物を詰め始めた。
持っていく物を揃えベッドに潜り込むと、リヴァイがランタンの火を消し、部屋が暗くなる。
「じゃあな、俺は戻る」
「えー!リヴァイ今日は一緒に寝てくれないの?」
「寝ねぇよ。まだ俺は準備が出来てねぇ。じゃあな、寝坊するなよ」
「はーい!おやすみなさい」
リヴァイは自分の部屋へと戻っていった。
一人になったリリアは息を吐くと暗い天井を見つめた。