第7章 #07 実験と訓練
その後、リヴァイ班とハンジ班、そしてリリアでエレンの実験、検証が行われた。
枯れ井戸にエレンを入らせ巨人化させる。
そうすれば例え自我がなくても巨人化したエレンを拘束出来るのだ。
しかし、そう実験は上手くはいかなかった。
エレンは井戸の中で手を噛み自傷行為をしてみたものの、巨人にはなれなかったのだ。
しかも自分で噛み切った傷も塞がらない。
彼の手は噛み跡で何箇所も血塗れになっていた。
「痛い?大丈夫?」
少し休もうと、皆は実験を中断し休憩の準備し始めた。
リリアはエレンの手に包帯を巻き、エレンは大丈夫と答えたが、明らかに元気がなく落ち込んでいる。
何故巨人化出来ないのかエレン自身も分からないのだ。
「自分で噛んだ手の傷も塞がらないのか…」
「はい……」
「お前が巨人になれないとなると、ウォール・マリアを塞ぐっていう大義もクソもなくなる」
リヴァイに言われるものの、エレンは何も返せない。
「命令だ。何とかしろ」
「……はい」
そう言うとリヴァイはその場から離れると、落ち込んだエレンの肩をリリアが叩いた。
「きっと大丈夫だよ、焦らずにね」
「すみません…」
「そう気を落とすな、エレン」
「しかし…」
「まぁ、思ったよりお前は人間だったって事だ」
エルドとオルオがエレンに話しかける。
リヴァイ班の皆は全く慌てておらずむしろ落ち着いている。
エレンはそれを不思議に思いながらも目の前の紅茶を混ぜようとスプーンを握ったが、手の痛みによりスプーンを地面に落としてしまった。
「大丈夫?取ろうか?」
「いえ、自分で取ります」
リリアが代わりに拾おうとしたがエレンは自分で取るから、と少し離れた所に落ちてしまったスプーンに手を伸ばし、触れたその時だった。