第50章 #50 ジークの秘策
パラディ島ではまず港作りを開始し始めた。
義勇兵のイェレナの意見により、まずは港を作り外国からの要人を迎え入れ交渉などをする提案を受けたのだ。
その日はエレン以外の104期のメンバーが港作りの手伝いに参加していた。
リリアも片腕ながらに手伝いをし、昼食をとっている彼ら少し離れた所から見ていた。
テントでは捕虜だったニコロが料理を振る舞っている。
彼はマーレでは料理人だったらしく、机の上に海の幸で作られた素晴らしく美味しそうな料理が並んでいた。
最初はその見たこともない料理を不安視していた104期だったが、サシャが先導を切って食べ始めたのをきっかけに、その料理に皆が食いついている。
そんな光景をニコニコしながら眺め、リリアは海の方を向き輝く水平線を見つめていた。
「おい」
声を上げて掛けられ振り向くと、お皿に料理を盛ったニコロが近付いてきていた。
そしてリリアの前にその料理を置く。
「アイツらに全部食われちまうぞ、ほら、お前の分」
「わぁ!ありがとう!!」
ニコロは腰を下ろすと固い殻に覆われた赤い生き物を掴んだ。
「これは海老だ」
「えび!!これ食べれるの?」
「これは茹でてある。こうやって…」
頭部を取り体の殻をパキッと割るとプリッとした身が姿を現した。
湯気が出ていてとても美味しそうだ。
「わぁ!!」
「ほらよ、食え」
片腕のリリアでは殻は剥けないだろうとニコロは気を使ってくれたようだ。
差し出された海老の身にかぶり付くとほんのり塩味がし、身は弾力がありとても美味しい。