第49章 #49 預けられた伝言
イェレナ達、反マーレ義勇兵らの事を会議にかけるため、兵団上層部や幹部らが王都に集まった。
彼らから言われたジーク・イェーガーからの要求をハンジが皆の前で報告するが、全員表情は暗い。
「ジーク・イェーガーの要求は以上です。全ては生存が危ぶまれるエルディア人の救済を目的……」
「論外だ!!そんな馬鹿な話に乗るものか!!」
「相手は獣の巨人だぞ?!ラガコ村の村民を巨人に変え、壁内を恐怖に陥れ、調査兵団を壊滅寸前まで殺戮した張本人がそうぬかしたのか?!」
幹部らが口々にジークの要求は飲めないと言う。
当たり前だ。
彼によって壁内の人々は苦しめられたのだから。
「奴らの目的は終始一貫して始祖の巨人の奪還、力尽くが駄目なら口八丁、手八丁を尽くせと言わんばかりだな」
ザックレーが呟く。
「それは敵さんも承知の筈、まずは団長殿の話を聞こうではないか」
ピクシスがハンジに視線を送る。
するとハンジは再び話し始めた。
「ジーク曰く、エルディア人の問題を一挙に解決する秘策があると。その秘策を行う条件として必要なものが始祖の巨人と王家の血を引く巨人、二つが揃えば世界は救われる。ただし、その秘策を明かせるのは条件が揃ってからだ、と」
「聞くに耐えん」
「随分と低く見積もられたものだな」
するといきなりエレンが立ち上がり、皆がエレンを見る。
「エレン?」
「それは本当です。思い出したんです。オレが一度だけ始祖の巨人の力を発動する事が出来たのは、王家の血を引く巨人と接触した瞬間でした。その巨人は父の妻であったダイナ・フリッツに違いありません。ダイナの息子であるジークは解明したのでしょう、不戦の契りを出し抜く術を……我々エルディア人に残された唯一の希望を。壁に潜む幾千万もの巨人で世界を踏み潰す、地鳴らしの発動条件を…」
エレンの発言にリヴァイが彼の方を向いた。
そんな重大な事を何故今までずっと黙っていたのか。